
「カフェをやりたい」という夢を持つ方は多く、飲食の経験がなくても開業にたどり着く人が増えています。
しかし私がこれまでメニュー開発の現場で関わってきた中で、開業後に「思っていたのと違う」「売上が伸びない」と悩む方の多くには、メニューの設計段階で共通した失敗パターンがあることに気づきました。
この記事では、飲食未経験でカフェを開業した方が陥りやすいメニューの失敗パターンを3つに整理し、それぞれの背景と対策をくわしく解説します。開業前の準備段階の方にも、すでに開業して伸び悩んでいる方にも参考にしていただける内容です。
『パターン①』品数が多すぎて「何屋かわからない」お店になってしまう

こんな状況になっていませんか?
飲食未経験の方がメニューを作るとき、「お客様にいろいろ楽しんでほしい」「単価を上げたい」という思いから、気づけばドリンクだけで20種類・フードも10種類以上……という状態になってしまうことがあります。
開業前の試食会では友人・家族に好評だったメニューばかりを詰め込んだ結果、いざ営業してみると厨房がパンクし、提供に時間がかかり、ミスが増え、スタッフの疲弊につながる。こういった事例は決して珍しくありません。
| 【よくある現場の声】
「せっかく作ったメニューなのに、注文が集中するのは結局3〜4品だけ。他はほぼ動かない」 「品数が多いと食材の発注が複雑になり、ロス(廃棄)が増えてコストが膨らむ」 |
なぜ起きるのか
飲食経験のある方であれば、「この料理はどのくらいの仕込み時間が必要か」「ランチとディナーで同じ食材をどう使い回すか」という感覚が体に染みついています。しかし未経験の方は、料理の「完成形」は想像できても、オペレーション上のコストまでは見えにくいのです。
品数が多いということは、食材の種類・仕込み工程・提供導線・スタッフのトレーニング量が全て増えるということです。カフェのような少人数運営の業態では、このしわ寄せが直接クオリティの低下につながります。
対策:「売れるメニューを絞る」発想へ
解決策はシンプルで、「何を出さないか」を決めることです。
ドリンクは定番10種程を軸に、季節限定などで変化をつける
フードはコンセプトに直結する看板メニュー+3種程を軸に、その周りを補完するように構成する
食材は複数メニューで使い回せるものを選ぶ(食材の流用設計)
品数を絞ることはサービスの低下ではありません。お客様に「このお店といえばこれ」という印象を残すことが、リピートと口コミにつながります。
『パターン②』原価を無視したメニューで「儲からない構造」になってしまう

こんな状況になっていませんか?
「この食材は高品質で美味しい」「見栄えもいいから写真映えする」という理由でメニューを組み立てた結果、蓋を開けてみると原価率が40〜50%になってしまっていた——これも未経験者に多い失敗です。
飲食業では一般的に、原価率は30〜35%以内に収めることが健全経営の目安とされています。それを超えると、いくらお客様が来ても利益が残らない「売れているのに赤字」という状態になりかねません。
| 【原価率の基本】
原価率(%)= 食材コスト ÷ 売価 × 100 例)食材コスト300円のランチプレートを900円で提供 → 原価率33%(適正) 食材コスト300円のランチプレートを700円で提供 → 原価率43%(危険) |
なぜ起きるのか
未経験の方がメニューの値段を決めるとき、「近くのカフェと同じくらいの価格にしよう」という発想になりがちです。しかし、競合店の売価はその店の仕入れ力・オペレーション効率・コンセプトを踏まえた上で設定されたものです。同じ価格帯で同じクオリティを出そうとすると、自ずと原価が圧迫されます。
また、生鮮食材(野菜・鮮魚など)を使うメニューは、季節や市況によって仕入れ値が変動します。開業時に適正だった原価率が、半年後には大きく悪化していたというケースもあります。
対策:「売価から逆算してメニューを作る」
プロのメニュー開発では、「このメニューをいくらで売るか」を先に見据えたうえで、そこから許容できる原価の上限を計算してレシピを組み立てます。美味しさを犠牲にせず原価をコントロールするには、食材の組み合わせ方や使い回し設計の工夫が必要です。
食材コストを先に計算し、そこから売価を逆算する習慣をつける
仕入れ価格が変動しにくい食材を軸にメニューを組む
価格改定しやすい仕組みをあらかじめ設計しておく
品質の高い業務用加工食材やOEMを活用して、クオリティを保つ
『パターン③』「作れる」けど「店で出せない」メニューになってしまう

こんな状況になっていませんか?
自宅での試作では完璧だったのに、実際の営業中に同じクオリティで出せない——これがパターン③です。
カフェの厨房は自宅のキッチンとはまったく別物です。使える調理器具・作業スペース・スタッフ数・提供までのタイムリミット……これら全ての制約の中で、安定したクオリティを出し続けることがプロの仕事です。開業前にこの視点が抜けていると、「メニューはあるのに提供できない」という最悪の状況になります。
【よくあるトラブル例】
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なぜ起きるのか
メニューを作るときは「何を出すか」に集中しがちですが、「どうやって出すか」が抜け落ちていることがあります。厨房のレイアウト・冷蔵庫の容量・使える熱源の種類と数・スタッフのスキルレベル——これらはメニュー設計と一体で考える必要があります。
特にワンオペや少人数で運営するカフェでは、1品当たりの調理工程がシンプルであることが継続経営の生命線です。
対策:「オペレーションから逆算したメニュー設計」
理想のメニューがあるなら、それを「現場で出せる形」に落とし込む設計が必要です。具体的には以下のようなアプローチが有効です。
仕込みと提供を分離し、仕込みは前日までに完了できる設計にする
使う熱源(コンロ・オーブン・電子レンジ)の数に合わせてメニューを絞る
1人でも提供できる工程か、必ずシミュレーションする
難易度の高い料理の提供は、極力避ける
『まとめ』:失敗するメニューには「共通点」がある

3つのパターンを整理すると、飲食未経験でメニューを失敗する根本には「完成形は見えているが、それを持続的に提供し続けるための設計ができていない」という点があります。
| 【3つのパターン まとめ】
パターン① 品数が多すぎて「何屋かわからない」店になる パターン② 原価を無視して「儲からない構造」になる パターン③ 「作れる」のに「店で出せない」メニューになる いずれも、オペレーション・コスト・コンセプトを統合した「売れるメニュー設計」の視点があれば、事前に防ぐことができます。 |
メニューは「好きなものを出す」ではなく「持続的に提供でき、利益も出て、お客様に選ばれ続ける」ように設計するものです。その設計力こそが、開業後に長く続くお店とそうでないお店の差になります。
メニュー設計で不安を感じたら、まずご相談ください

CREATIVE DEVELOPMENTでは、カフェ・飲食店のメニュー開発・プロデュースを専門に行っています。飲食未経験の方でも、オペレーション・コスト・コンセプトを一体で設計するため、「開業してから後悔した」という状況を未然に防ぐことが可能です。
【こんな方はぜひご相談ください】
初回のご相談は無料です。お電話・Zoomにてお気軽にどうぞ。 ▶ お問い合わせはこちら → https://cd-web.net/contact/ |
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【執筆者】
CREATIVEDEVELOPMENT株式会社
代表取締役
伊藤栄一
飲食店メニュープロデューサー、カフェメニュー開発・開業支援
『メニューの開発実績500種類以上』『専門学校で講師の実績』カフェの現場で5年間シェフを歴任し、様々なメニュー開発を行う。開発メニューの中には、テレビや雑誌に取り上げられた事例も。

