日替わりメニューは必要か?飲食店経営における効果と導入のポイント
カフェを開業すると、よく出てくる疑問が「日替わりメニューは必要かどうか」です。
特にランチ営業を考えているオーナー様は、「毎日同じメニューだと飽きられるのでは?」「日替わりをやった方が集客に強いのか?」といったお悩みをお持ちの方が多いように思います。
結論から言えば、日替わりメニューが効果を発揮するかどうかは、立地条件と客層に大きく左右されます。
特にオフィス街でランチを展開する場合には、日替わりメニューは集客において強力な武器になるケースが多いのです。
【オフィス街のランチ事情と日替わりメニューの効果】
オフィス街で働くワーカーの多くは、ランチに使える時間が限られています。
休憩時間が1時間と仮定すると、実際に食事に使えるのは30〜40分ほど。その短い時間で「今日はどこに行こうか」と考え、オフィス近隣の数店舗をローテーションしている方が大多数です。
この時に選ばれるお店の条件は以下の通りです。
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提供スピードが早い
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安定した味とボリュームがある
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気分に合わせて選べるメニューがある
ここで「日替わりメニュー」があると、選ばれる確率が上がります。
なぜなら、「昨日は定番のハンバーグプレートだったけれど、今日は日替わりが魚料理だからこっちにしよう」と、リピート来店のきっかけを自然に作ることができるからです。
結果として、オフィス街では「日替わりを出しているお店=飽きずに通えるお店」という印象を持たれやすくなります。
【日替わりメニューが不要なケースもある】
ただし、すべての立地や業態で日替わりが有効というわけではありません。
例えば、住宅街のカフェや観光地のレストランなど、来店頻度が低い客層が中心の場合は、日替わりを用意する効果は限定的です。
また、ディナー主体のお店では「おすすめ」や「季節の限定メニュー」といった形で特別感を出す方が効果的なことも多いです。
つまり、日替わりは万能の答えではなく、お客様がどのくらいの頻度で来店するのかを軸に考える必要があります。
【日替わり導入のメリット】
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リピート来店の増加
変化を楽しみに来店してくれるお客様が増える。 -
仕入れの柔軟性
その時安く仕入れられる旬の食材を活用できる。 -
スタッフのモチベーション
メニューに変化があることで、調理スタッフにとっても刺激になる。
日替わり導入のデメリット
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オペレーションの複雑化
調理の手順や仕込みが増えるため、経験の浅いスタッフには負担になる。 -
食材管理が難しい
食材の種類が増える分、ロスやコストのコントロールが難しくなる。 -
告知不足で効果が出にくい
日替わりを導入しても、お客様に十分に伝わらなければ効果は半減する。
【成功する日替わりメニューのポイント】
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定番+日替わりの構成にする
すべてを日替わりにしてしまうと常連のお客様が「安心して頼めるメニュー」がなくなるので、必ず定番メニューとセットで考える。 -
価格はわかりやすくシンプルに
「日替わりランチ 900円」といった形で、内容が変わっても価格を固定にする方がお客様に受け入れられやすい。 -
SNSや店頭での告知を徹底する
日替わりの情報は毎朝SNSで発信する、店頭黒板に書くなど、顧客が知るきっかけを作る。
【まとめ】
日替わりメニューは「導入すれば必ず効果がある」というものではなく、立地と客層に応じて戦略的に取り入れるべきものです。
特にオフィス街でランチ営業を行う場合、日替わりがあることでリピート率が高まり、売上の安定につながる可能性が大きいでしょう。
一方で、住宅街や観光地などリピート頻度の低いエリアでは必須ではなく、むしろ定番や季節限定のメニューを強化した方が効率的です。
つまり重要なのは、日替わりをやるかどうかではなく、お客様がどのように自店を利用するのかを踏まえたメニュー戦略を考えること。これが結果的に、長く愛されるお店作りにつながります。
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【執筆者】
CREATIVEDEVELOPMENT株式会社
代表取締役
伊藤栄一
飲食店メニュープロデューサー、カフェメニュー開発・開業支援
『メニューの開発実績500種類以上』『専門学校で講師の実績』カフェの現場で5年間シェフを歴任し、様々なメニュー開発を行う。開発メニューの中には、テレビや雑誌に取り上げられた事例も。