【カフェメニュー】売れるメニュー開発の流れ
皆様はこれまでに、メニュー開発を外部に委託することを考えたことはありますか?
外部委託を考える際、多くの方が悩むのが「どうやって委託先を選ぶか」という点です。
メニュー開発と一口に言っても、各社で提供するサービスや費用、サポート範囲は異なります。これにより、「どんなサービスが受けられるのか」「費用はどのくらいかかるのか」といった不明点が多く、問い合わせに対する不安が大きくなることもあるかと思います。
特に飲食業界では、慢性的な人手不足が続いており、シェフの雇用を避け、外部委託を選択するケースが増えています。しかし、メニュー開発に関しては「形が見えにくいサービス」であるため、「今はまだいいかな…」「見積もりが高そう」といった理由で、委託を躊躇される方も多いように見受けられます。
今回は、そんな不安を少しでも解消し、弊社がどのようにメニュー開発を行っているのか、そのプロセスを紹介していきたいと思います。
『売れるメニュー開発の流れ』
まずはじめに、弊社の開発事例をいくつかご紹介します。
※弊社開発事例
Instagramでも開発事例をご紹介していますので、ぜひご覧ください。
上記は今までに開発したアイテムのごく一部ですが、我々はカフェに特化したメニュー開発の切り口から、フード・ドリンク・スイーツすべてに対応し、トレンドを意識したメニュー開発を心がけながらも『売れるメニュー』という観点を重視した開発を行っております。
そして年間200種類以上のメニューを開発し、様々なご要望にもお応えしてきております。
カフェメニューというと「オシャレさ」が求められがちですが、実際にクライアント様が求められていることを突き詰めて考えると、開発した商品が『売れるか』『売れないか』がすべてだと言っても過言ではありません。
そのような『売れるメニュー開発』を行うために、我々は味だけに重視するのではなく、常にマーケットの動向にアンテナを張り、人気店や話題になっているお店に足を運び、トレンドや人気メニューの分析を行いながら、それらをメニュー開発に活かすよう心掛けています。
( 情報収集している様子は X(twitter)でつぶやいています。また視察の際には様々な業種・業態へ足を運んでおり、その理由を下記ブログ「情報をアップデートせよ」でも発信しています。もしご興味頂けましたら、是非チェックしてみてください。)
またそのような『攻め』の視点と同等に、時には攻めの視点以上に『守り』にあたる管理視点を重視する場合もあります。
例えば、『オペレーションに負担はかからないか』『スタッフ様のスキルに合っているか』『食材ロスは出ないか』『原価率は適正か』『仕入れが難しくないか』『収納スペースに収まるか』など、クライアント様の店舗へ導入するにあたっての現実的な部分が、メニュー開発を進めていくにあたり忘れてはならない重要な項目です。
特に商品の開発が完了して導入のタイミングで明確になってくるのですが、結局どんなに良い商品を開発できたとしても、そのような管理視点が欠如していると品質が安定しなかったり提供時間に遅れが生じてしまうなど現場に混乱が生じてしまい、結果的にクライアント様にとっては悪い商品となってしまいます。
つまりメニュー開発には味や見た目だけに偏らない『全体最適』の考えがが必要であり、その考えを基本に弊社ではクライアント様の環境に合わせてメニュー開発を行っているのです。
だた、飲食店の現場をご存じでないクライアント様とお話する際には、なかなかここをご理解頂けない場合もあるので、もどかしくもあったりするのです。
少し話が逸れましたが、ここからはそのような実践ベースの背景をもとに、弊社の考え方や事例を通したメニュー開発の流れをご紹介していきたいと思います。
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『 ヒアリング 』
まずはじめに、弊社にご相談をいただきましたらクライアント様のご要望をヒアリングします。
ご依頼を頂くクライアント様の多くは、ぼんやりとではありますが『こんなメニューを出したい』というイメージをお持ちです。
勉強で様々なお店へ行き、自分が気に入っているお店やトレンドなどからインスピレーションを受け、そこからの影響が色濃くでているように感じます。
もちろんそれは入口としてはとても良いことなのですが、反面、本来提供すべき『立地に適したお客様ニーズを汲み取ったメニュー』の視点に欠け、『個人的な好みや流行を重視したメニュー』に比重がかかりすぎているのもひとつ傾向としてあるようにも思います。
もちろん自分のお店なので「好きなものを詰め込みたい」「流行りを取り入れたい」という気持ちは理解できます。
しかし、それではお客様視点に欠けた自己中心的なメニューとなってしますので、残念ながら『売れるメニュー』を作ることができません。
ですので、まずはここを修正していくためにも、いくつか深堀りした質問を投げかけていくところから始めていきます。
『 ヒアリング① コンセプトについて 』
ヒアリングさせていただくうえで、外せない内容として『お店のコンセプト』があります。
これからカフェを開業する方でも今現在お店を営んでいる方でも、お店を立ち上げる際には、何かしらのコンセプトを策定していると思います。(もしコンセプトがないようなら改めて定義してみましょう)
例えば『スイーツを楽しむ、優雅で長居したくなる空間』や『野菜がしっかりと摂れる、健康を気遣う私に嬉しいヘルシーメニュー』などお店によってコンセプトは様々で、そのコンセプトが他店との差別化として機能しますのでとても重要です。
そしてコンセプトはあなたのお店に一貫性を持たせる根幹でもありますので、この根幹とこれから開発しようとするメニューに整合性がなくバラバラになってしまっていては、売れるメニューを作ることが難しくなってしまうのです。
例えば『野菜がしっかりと摂れる、健康を気遣う私に嬉しいヘルシーメニュー』が売りのお店なのに、ビーフ100%のハンバーガーやフライドポテトなどの高カロリーなアイテムが主力商品として提供されてしまうと、チグハグ感が出てしまいお客様の求める価値から遠ざかってしまいます。
このように文字にしてみると一見そんなことは起きないように思いますが、実際に掘り下げてクライアント様にお話を聞いてみると、このようなミスマッチは往々としてあるものなのです。
ですので最初にコンセプトをお聞かせ頂く事で、クライアント様が出したいメニューが、お店の向かおうとしている方向性とミスマッチを生んでいないかをチェックさせて頂きます。
≪ ※コンセプトについて触れた参考記事 ≫
コンセプトを持つことはお店作りの一貫性を持たせるうえでとても大切であり、メニュー開発にもダイレクトに紐づいてくるのです。
『 ヒアリング② ターゲットについて 』
こちらもコンセプトに紐づくお話になりますが、ターゲット設定についてもお聞かせ頂きます。
お客様は様々な属性に分類することができ、その属性別で見ると好まれるメニューも違いますしポーション量や販売する価格帯も変わってきます。
例えばヘルシー志向の若い女性のお客様の場合、揚げ物が中心よりも野菜が多く摂れた方が好まれるでしょうし、かつ少しづつ色々なものが食べられたほうが喜ばれるかもしれません。
またオフィスで働くビジネスマンのランチでしたら、予算は¥1,000以下には抑えつつもガッツリ食べたいという気持ちになるでしょうし、ママ友とのおしゃべりを楽しみたい主婦層であればスイーツが充実していたら喜ばれ、かつランチも兼ねた利用シーンでしたら¥1,800でもご満足頂けるかもしれません。
そのようにお客様の属性や好みを理解して開発を進めていくことは非常に重要で、そこをしっかりと意識していないと、お客様ニーズを汲み取った売れるメニューは作れないのです。
『 ヒアリング③ 立地について 』
立地も売れるメニュー開発に大きく影響しますので、ご出店される(又はすでにされている)エリアの特性もお聞かせ頂きます。
例えばオフィス街でサラリーマンの方が多い立地でしたら、一般的に時間を気にされているお客様が多いので素早く提供できるメニューが求められますし、反対に住宅街で地元の方々が多い立地したら、ゆったりくつろぎながら優雅な気分に浸れるちょっとこだわりのあるメニューや、名物となるような「これを食べに来たい」と思うエッジの効いたメニューが求められたりします。
仮に顧客属性が同じだとしても、立地が変われば利用動機が変わりますし、利用動機が変わればお客様の気分も変わりますのでその顧客心理を理解しなければなりません。
そんなお客様の気持ちに歩み寄り、商品へと転化していく発想がメニュー開発には求められますので、エリアの特性はクライアント様にも把握しておいて頂かなければなりませんし、その立地特性からメニューを考えていかなければならないのです。
一度決めてしまったら変えることができないのが『立地』ですので、クライアント様がやりたい事を踏まえながらも、その立地にフィットしたメニューに導いていくのも、弊社の役割と言えるのかもしれません。
『 ヒアリング④ 競合について 』
競合の存在も売れるメニューを作る上で押さえてないといけないポイントの一つですので、こちらに関してもお聞かせいただきます。
お客様はお店を選ぶ際に、その時々の気分や利用目的に応じて候補の中から比較検討してお店を選んでいます。
その時に『今日はあそこのあれにしよう』と、はっきりとお店やメニューのことを思い浮かべて頂けるかが非常に重要で、競合がどんなメニューを出しているのかを知ったうえでこちらはどのように差別化していくのかを考えなければなりません。
競合と似たり寄ったりのメニューであると、どうしてもお客様の記憶には『似たようなお店』としか映らないので、明確な違いを出して印象を残すことを重視します。
そうでないと「近い」「安い」「居心地が良い」などの要件がお客様のお店を選ぶ優先基準となってしまい、メニューがお店を選ぶ基準とならないからです。
売れるメニューをつくるためには、他にも色々な角度から検証する必要があるので、クライアント様の『こんなメニューを出したい 』という想いは考慮しながらも、競合の存在も意識しながら必要な箇所は修正しながら進めていくことになります。
『 商品企画 』
ヒアリングをおこない要件が整理できたら、具体的な商品の企画に入っていきます。
前項でもお伝えした通り、コンセプト・ターゲット・立地・競合など、お店を取り巻く環境を総合的に判断してから立案をしていかないと、結果的にお客様に受け入れてもらえないメニューとなってしまいますので、お客様の利用シーンをイメージした客観的な視点で構成していきます。
(※もちろんクライアント様がやりたいことは最大限考慮しながらです)
例えば下記は実際のプレゼンテーションに使った資料の一部です。
この商品企画をした際にも、もちろん根底にはコンセプト・ターゲット・立地・競合など、お店を取り巻く環境を軸に商品企画をしています。
個性を出しつつも、あまり奇抜になりすぎない受け入れられやすい構成を大切にしているのです。
このバランスを崩してしまうと、間口が広すぎて競合の中に埋もれてしまったり狭すぎてお客様に受け入れられなかったりと、取りこぼしの要因となるので注意しましょう。
また業界の動向やトレンドをキャッチし、常にアンテナを張り巡らせて時代の変化に対応する柔軟さも商品企画には大切です。
特にカフェの場合は感度の高いお客様が集まる場所ですので、トレンドを考慮することも売れる要素の1つとして考えなければなりません。
ある意味ファッション性を持ち合わせていないと感度の高いお客様には刺さらないので、我々開発側も日々アンテナを張り巡らせて、時代の流れに沿ったセンスを磨く行動をするように意識しています。
人気店をよく観察してみると、メニューや食器など、時代と共に常に変化していっているのが分かりますので、そういった人気店の動向を観察しながら、トレンド感やセンスを磨くことは商品企画をするうえで必須の努力だと言えるのかもしれません。
『 商品開発 』
商品構成が整ってきたところで、実際の商品開発に着手していきます。
売れるメニューにするためには、美味しさの追求は当然として「尖らせること」が必須条件です。
例えばいまだに人気が衰えることがなく、もはやひとつのカルチャーと言っても過言ではないパンケーキを例にとって考えてみます。
過去のパンケーキといえば、しっかりとしたきつね色に焼かれた薄い生地にバターとメープルシロップというのが定番でした。
しかし今では、スフレ状のフワフワ食感のパンケーキ定番といっていいほど人気です。
※弊社が手掛けたスフレパンケーキ開発時の様子
これは定番のパンケーキを「フワフワ食感」という切り口で尖らせた事に要因があります。
「フワフワ食感」と聞くと、口に入れた時の生地の口当たりが連想でき、何だかそれだけでも食べてみたくなりますよね。
定番といえるメニューでもひとつフックとなる「尖り」を入れてあげることにより、お客様の興味を強く引くことができます。
その他店とは違う尖りが、あなたのお店へ来店する動機となり売れるメニューへと繋がっていくのです。
開発段階ではそういったフックを入れる調整を行ったうえで、商品に魅力を与えるよう詳細を作りこんでいきます。
『 商品開発① 食器選定 』
食器(テイクアウトの場合は容器)選定も売れるためにはとても重要な要素であり、選定する食器ひとつで商品の印象はガラッと変わってしまい、同じ料理であってもお客様が感じる価値には大幅な差が出るほどです。
ですので、売れるメニューとして売り出す以上は食器選定も慎重に行っていきます。
選定にはポイントがいくつかあり、主に「色」「サイズ」「形状」など、商品やその盛付けとの相性を重視します。
例えば下記は弊社の開発事例です。
※「バーベキューチキンのバインミー」
こちらはタテ長のパンを使ったサンドイッチですが、木の器を使うことにより手作り感ある屋台などのストリートっぽい温かみを持たせた印象を演出させています。
また器のサイズがコンパクトなことでサンドイッチのサイズが協調されたり、パンと同型色となることで具材の色が引き立つという利点も出てきたりするのです。
※「自家製グラノーラとバナナスムージー ボウル」
続いてこちらは自家製グラノーラを使用したスムージーボウルですが、色彩のメリハリを出すためにターコイズブルーの食器を活用しています。
赤・青・緑など、強くて反発し合う(同化しない)色を複数合わせることにより、見た目も華やかな印象を持たせています。
食器の色もその一部として活用した事例です。
例えばこれが白の食器でしたら、同じ中身でも商品の印象というものはガラッと変わってしまい、商品の売れ行き自体が落ちてしまいます。
ですので、食器選定も売れるメニュー開発には欠かせない要素として、安易には決めずに慎重に考えなければならないのです。
≪ 食器選定に関する参考記事 ≫
『 商品開発② 盛り付け 』
盛り付けも売れるメニューにするためにはとても大事な要素ですので、食器同様に商品開発には欠かせない要素として考えなければなりません。
※【開発事例】ナガノパープルのパフェ
上記も弊社の開発事例ですが、「ナガノパープル」という種なしで皮ごと食べられるぶどうをふんだんに使い、高さを出しインパクトを与える設計にしています。
ぶどうは丸玉のまま盛り付けることで見た目がグッと引き締まるのですが、それだけだと単調になりすぎるのでスライスしたぶどうも添えています。
盛付けは「高さ」「彩り」「配置」の3つの要素で構成され、それぞれが器と調和した時に綺麗な盛付けとなるのです。
≪ 盛付けに関する関連記事 ≫
もちろん食器の色や形状などとの相性で考えなければならないので、複合的な要素を掛け合わせて盛付けは組立てなければなりません。
※複合的な要素を掛け合わせた盛付け事例「3種のシーフードトマトリゾット」
そこには「感性」が必要になりますので、日々トレンドをキャッチしているセンスの良いお店を見て周り、盛付けセンスを体験から学ぶのが一番です。
売れるメニューを目指す以上は、日々の努力を怠らずにしっかりとこだわっていきたいですよね。
Instagramでも、盛付け事例をご紹介しています
『 商品開発③ ネーミング 』
そして最後は商品ネーミングです。
同じ商品でも、ネーミングを変えるだけで売れ行きが変わるとさえ言われるほど、こちらも重要項目です。
※【開発事例】全粒粉のエッグベネディクト
例えばこちらのエッグベネディクトには、「全粒粉」という冠を頭につけています。
実際に、全粒粉マフィンを使い仕上げた一品です。
もしこれを、「エッグベネディクト」とシンプルなネーミングにしてしまっていては、せっかくの全粒粉マフィンを使っているというこだわりが、お客様には伝わりませんよね。
つまりその価値を伝えるためにも「全粒粉」と一言をつけることは重要ですし、それがエッグベネディクトの価値を高めてくれます。
※例えばよく見かける、「産地直送」「生絞り」「自家製」なども、同じようなネーミングの位置づけと言えます
売り手側から見るとささいな事でも、案外お客様から見たら「この価値を高めてくれる一言」が重要だったりするものなのです。
そのような理由から売れるメニューにするためには、あなたのお店のお客様の特性に合わせた尖らしたいポイントを商品ネーミングとして訴求して、興味を惹き付けましょう。
『 おわりに 』
いかがでしたでしょうか。
以上のように、弊社では売れるメニューを作り上げるために様々な段階を踏んで商品を作り上げていきます。
売れるメニューとは、お店にお客様を呼び込む力がある集客ツールとも言えますので、他のメニューよりもそもそも力が入っていなければなりませんし、お客様はお店の名前よりも「あれ(売れるメニュー)がある店」と覚えられることのほうが多いので、記憶に残るようなメニューにしていかなければなりません。
そして弊社ではそのような売れるメニューを作りあげるために様々な飲食店をまわり、開発のヒントを日々探ることを習慣として引き出しを増やし続けています。
時にそれがレストランであり居酒屋でありベーカリーショップでありと業種・業態は問わず、時代の流れをキャッチしながら、広い視野を持ち続ける努力を続けています。
クライアント様のメニューを開発するという事は、対価以上の価値を提供することが大前提となるので、業種・業態の垣根を越えてアイデアの引き出しを多く持ち、トレンド感覚を持ったメニュー開発を我々は心がけているのです。
弊社ではこれまでに、多種多様な開発実績を積み上げてきましたので、開発事例などにご興味をお持ちいただけましたら、どうぞお気軽にお問合せ下さい。
※あわせて読みたい記事『メニュー開発委託のメリット』
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【執筆者】
CREATIVEDEVELOPMENT株式会社
代表取締役
伊藤栄一
飲食店メニュープロデューサー