エリア特性を理解したメニュー開発——“売れる”メニューは地域の文脈を読む

カフェや飲食店のメニュー開発で、意外と見落とされがちな視点があります。
それは、出店エリアの特性と顧客層に合わせたメニュー設計です。
たとえば、
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ご年配の方が多い住宅街に、スタイリッシュな最新トレンドのメニューを並べる
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若年層の多い駅前エリアで、当たり障りのない馴染みのある定番料理だけを揃える
このような方向性では、どれだけ料理がおいしくても、どれだけ内装が素敵でも、期待していたほど売れないことが珍しくありません。
言語化してみると「当たり前」のように思えるのですが、実際の現場ではこの“当たり前”が徹底されていないケースを多く見ます。
今回は、カフェ開業やメニュー開発を進めるうえで重要な「ターゲットの文脈を読む」という視点について、深掘りしていきます。
◆ なぜ、良いメニューでも刺さらないことがあるのか?

カフェや飲食店は、人が暮らす場所=日常の延長線に存在するビジネスです。
そのため、エリアの生活リズムや文化、年齢層、好まれる味の方向性まで、地域性が売上に直結します。
例を挙げると、
● シニア層が多い地域
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派手さより安心感
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和食比率が高い
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食べやすさ・消化の良さ
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“わかりやすい料理名”が好まれる
→ トレンド感より、馴染みと信頼性が鍵
● 若年層や学生が多いエリア
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写真映えと新しさ
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ボリューム×コスパ
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スイーツやドリンクの個性
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ブランドストーリーへの共感
→ “話題性”と“自分事につながる体験”がポイント
つまり、同じメニューでも、提供する場所が違えば価値の感じられ方が変わるということです。
美味しい商品を作ることだけが成功ではなく、その商品が、誰のためのものなのかを明確にすることが、売れるメニュー開発の出発点です。
◆ メニューは“地域の文脈”の上に成り立つ

新規開業の相談でよくお聞きするのが、
「自分の好きなメニューを出したい」
という声。
情熱はすばらしいのですが、「お客様にとって必要か」も同時に考える必要があります。
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この街に住む人は、普段どんな食事をしているか
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どんなタイミング、利用動機でお店に来るか
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価格帯はどこが“安心ライン”か
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何を美味しいと感じるか
こうした“地域の背景”を読み解けているかどうかで、成功確率は大きく変わります。
メニュー開発は、センスだけでは成立しません。市場調査 × 顧客理解 × 業態設計が揃って、初めて“売れるメニュー”が生まれます。
◆ リサーチは開業前の必須プロセス

エリア特性を把握するためには、リサーチは外せないステップです。
| リサーチ内容 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 競合店リサーチ | 自店との距離、メニュー、価格帯、客層 |
| 利用シーンの確認 | 利用時間帯、客単価 |
| 口コミ・SNS分析 | 顧客が評価しているポイント |
| エリアの客層 | ビジネスマン、家族層・学生層・シニア層 |
これらを丁寧に分析することで、「この街に求められるメニューは何か」の方向性が見えてきます。
◆ “選ばれる理由”を作る

お客様に選ばれるためには、そのエリアに適したチューニングも重要です。
たとえば、
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オフィス街では、クイックに提供できるメニューであること
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繁華街では、選ばれる理由となる個性を出すこと
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シーサイドでは、鮮魚を活かしたメニューが期待される
そのエリアに適したニーズを理解し、「選ばれる理由」をメニューで表現することが、長く続く店作りにつながります。
◆ トレンドと“エリア特性”のバランスが鍵

もちろん、トレンドを取り入れることも大切です。
しかし、重要なのは
流行に乗るのではなく、エリアの特性にフィットさせること。
例えば、
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フォームミルクをたっぷりとのせるラテを“インバウンドが強い地域に合わせて抹茶仕様”に
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映えるスイーツを“住宅街のママ友同士でも気兼ねなくご注文いただける飾りすぎない盛り付け”に調整
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プラントベースをオフィス街の健康を意識するワーカーのためのランチボックスに
この“翻訳作業”が、売れるお店になるための工夫です。
◆ まとめ:メニューは“市場の声”で磨かれる

カフェは、地域とともに育つビジネスです。
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誰が住んでいる街なのか
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何が求められているのか
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どんな食体験に共感が生まれるのか
これを丁寧に読み取り、
地域の生活者に愛されるメニューをつくることが、成功への最短ルートです。
『エリアを理解し、ターゲットの心に届くメニュー開発。』
これこそが、持続的に選ばれる店の条件です。
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【執筆者】
CREATIVEDEVELOPMENT株式会社
代表取締役
伊藤栄一
飲食店メニュープロデューサー、カフェメニュー開発・開業支援
『メニューの開発実績500種類以上』『専門学校で講師の実績』カフェの現場で5年間シェフを歴任し、様々なメニュー開発を行う。開発メニューの中には、テレビや雑誌に取り上げられた事例も。

