飲食店視察時のチェックポイントとは
これから飲食店を開業する上で、他店の視察は非常に重要なステップです。競合の強みやトレンドを肌で感じ、自店に活かせるヒントを得るチャンスでもあります。ただし、視察をなんとなくこなしてしまったりあら捜しに注視してしまっていては、せっかくの時間が無駄になってしまいます。この記事では、飲食店視察の際に押さえるべき具体的なポイントを解説します。開業準備中の方、既存店の改善を目指す方は、是非ご参照ください。
1. 目的を明確にして視察に臨む
視察前に最も重要なのは「なぜその店を視察するのか」という目的の明確化です。
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自分の出店予定ジャンルと近い店なのか
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立地や客層が似ているのか
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話題性・人気の理由を知りたいのか
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店舗オペレーションを学びたいのか
このように、事前に目的を整理することで、視察時の注目ポイントが定まり、より有意義な時間となります。
2. 店舗外観と立地の観察
店に入る前から視察は始まっています。外観や立地条件には、その店の集客力を左右する要素が詰まっています。
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看板・ファサードのデザイン:遠くからでも目立つか?コンセプトが伝わるか?
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立地の特徴:駅近か住宅街か、路面店かビルインか
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通行人の属性:ターゲットとする年齢層・性別と一致しているか
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他店との比較:近隣に競合店があるか?共存しているのか?
これらをチェックすることで、自店出店時の立地選びの参考にもなります。
3. 接客・サービスの質を体験する
実際に利用客としてサービスを受けることは、視察の最大のメリットです。
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スタッフの表情や声かけ:笑顔・アイコンタクト・タイミング
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注文の取り方・提供スピード:オペレーションのスムーズさ・ORオーダーの導入
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気配り・ホスピタリティ:水の提供、子連れ・高齢者への配慮
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会計時の対応:最後まで気持ちよく帰れるか
接客の良し悪しは、店舗の印象を大きく左右します。自店の教育にも活かせる観察ポイントです。
4. メニュー構成と価格帯の分析
飲食店の核となるのは「メニュー」です。視察では必ずメニュー表をチェックしましょう。
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メニュー数と構成バランス:メイン・サイド・ドリンクなどの割合
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価格設定:ターゲット層に合った価格か?高すぎないか?
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商品名のネーミング:魅力的で分かりやすいか・売りがはっきりしているか
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写真・デザインの見やすさ:視覚的に訴求できているか
また、実際に料理を注文し、味・盛り付け・提供温度なども確認するとさらに効果的です。
5. 店内の空間設計・導線・雰囲気を感じる
お客様が快適に過ごせるかどうかは、空間づくりにかかっています。
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座席配置:狭すぎないか、プライバシーは保てているか
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照明・音楽・温度:居心地の良さに繋がるか
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清掃状況:トイレやテーブル、床の清潔感
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導線の工夫:スタッフとお客様がぶつからない配置か
空間設計は一度見ただけでは分かりづらい場合もありますが、複数回の視察や、混雑時間を狙って入店すると違いが見えてきます。
6. 他のお客様の様子を観察する
現場のリアルな反応を見ることは、非常に有益です。
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年齢層・性別・グループ構成:ファミリー層か、若者中心か
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食事の様子:料理の写真を撮る、感想を話すなど
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滞在時間:長居しているか、回転が早いか
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リピーターの有無:常連らしき人がいるか
他のお客様の行動から、その店の「魅力」や「課題」を見つけ出し、自店の改善につなげていくのです。
まとめ|視察は「学ぶ姿勢」が成果を生む
飲食店の視察は単なる「食事」ではなく、「学びの場」です。目的を明確にし、視点を持って観察することで、必ず新たな気づきがあります。特にこれから開業する方にとっては、現場から学べるリアルな情報は何にも代えがたい財産となるでしょう。
視察で得たアイデアや気づきを、自店のコンセプトやメニュー、サービスに活かし、他店と差別化を図ることが、成功への第一歩です。
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【執筆者】
CREATIVEDEVELOPMENT株式会社
代表取締役
伊藤栄一
飲食店メニュープロデューサー