【カフェ開業】“映え”だけでは続かない?人員計画とメニュー構成を連動させるべき理由
カフェを開業する際、多くの方がこだわるのがメニューの魅力です。
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インスタ映えするビジュアル
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他店にないオリジナルの料理
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手作りにこだわったクオリティ
もちろん、これらはお店のブランディングとして非常に重要な要素です。
しかし、実際の現場では「美味しい」や「映える」だけでは、適正な運営は成り立ちません。
なぜなら、人員体制とメニュー構成が合っていないと、いくら魅力的なメニューでも提供し続けることが難しくなるからです。
今回は、「人員計画とメニュー開発をどう連動させるべきか」をテーマに、カフェ開業を成功させるための視点をご紹介します。
【メニュー構成と人員体制はセットで考えるべき理由】
カフェの運営は、“商品開発”と“人材リソース”のバランスで成り立っています。
例えば…
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手作り中心のメニューを構成しておきながら、ホールも含めてアルバイト2人で回す体制
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調理工程が多い料理ばかりなのに、経験の浅いスタッフ中心でシフトを組んでいる
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見栄えに全振りしたデザートメニューがあるのに、提供に10分以上かかる
こうした「理想と現実のズレ」は、結果として提供時間の遅延や品質のブレ、スタッフの疲弊、クレームの発生などにつながります。
つまり、メニュー開発と人員計画は、“切り離せない関係性”なのです。
【失敗例に学ぶ:理想だけで組んだメニュー構成の代償】
開業直後の店舗でありがちな例が、手間のかかるメニューを多く揃えすぎるケースです。
たとえば、以下のような失敗がよく見られます:
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手作りの前菜プレートが6種類あり、全て個別調理が必要
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焼きたて提供にこだわるオーブン料理が複数あり、回転率が悪化
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スイーツは自家製にしたが、デザート担当が1人しかおらず常にパンク状態
これらは一見「こだわり」のように見えますが、人員計画を踏まえずに構成したメニューは、現場の負担を極端に増やすだけです。
初期の段階では特に、「できること」を優先する姿勢が求められます。
【小人数運営の店舗こそ「まずはオペレーション優先」で設計する】
特に、アルバイト主体や少人数運営を想定しているカフェでは、メニューを“誰でも再現できる内容”に落とし込むことが重要です。
ポイントは以下の通りです:
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調理工程を少なく(仕込みや加熱にかかる時間を短く)
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マニュアル化しやすいレシピ設計にする
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同じ素材で複数メニューを展開できる工夫を入れる
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調理スキルに依存しない構成にする(例:焼くだけ・盛るだけ)
これにより、シフトに入る人によって品質がブレることを防ぎ、誰が入っても安定した提供が可能になります。
【映えや手作りは「価値のひとつ」でしかない】
近年はSNSの影響もあり、“映えるメニュー”が集客のためのひとつの武器になることは間違いありません。
しかし、それが行き過ぎると現場のキャパを超えたメニュー構成になってしまい、持続性のない店舗運営になります。
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SNS映え > 提供スピード
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手作り > オペレーション負担
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品数 > クオリティ維持
このような“ズレ”が起こると、お客様の満足度も安定しません。
その結果、リピーターが育ちづらくなり、長期的な売上確保が難しくなってしまいます。
映えや美味しさは重要ですが、それはあくまで価値の一部です。
お店全体としての提供体制・人員計画・回転率・利益率を含めた「総合設計」が成功に欠かせません。
【メニュー開発=戦略構築である】
本来、メニュー開発とは「商品を考える作業」ではなく、お店の運営全体を設計する戦略的な行為です。
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人数に合ったメニュー数
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営業時間と提供タイミングに合わせた構成
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スタッフスキルと調理内容のバランス
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原価・ロス・仕込み時間も含めた利益計画
こうした要素を踏まえて構成されたメニューこそが、お客様にもスタッフにも無理のない「続けられる店舗運営」につながります。
【まとめ:メニュー開発は人員体制とのセットで考えよう】
カフェの開業では、つい「魅力的なメニューづくり」ばかりに目が向きがちです。
しかし、実際に継続的な運営をしていくためには、スタッフ体制と提供能力に見合ったメニュー構成が必要不可欠です。
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アルバイト主体の少人数運営なら、シンプルで再現性の高い構成を
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「手作り」や「映え」を意識するなら、それに応じた人材確保・教育を前提に
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オペレーションが楽になるような、素材・工程の共通化も視野に
メニュー開発は、「お客様への価値提供」だけでなく、「店舗運営の最適化」にも直結する、極めて重要なプロセスです。
✅ 無理のない店舗運営のためのメニュー開発をサポートします
CREATIVE DEVELOPMENTでは、カフェ開業における人員計画と連動したメニュー構成のアドバイス・開発支援を行っています。
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【執筆者】
CREATIVEDEVELOPMENT株式会社
代表取締役
伊藤栄一
飲食店メニュープロデューサー