【カフェメニュー開発】再現性の高いレシピづくりが安定経営を支える理由
カフェを経営していくうえで、「味のクオリティ」を安定的に提供し続けることは、お客様からの信頼を得るためにも、極めて重要なポイントです。その中でも特に見落とされがちなのが、「再現性のあるレシピの設計」。
一見、美味しい料理をつくることに成功すればそれでOKのように感じますが、実際の現場では“誰がつくっても同じ味を出せるか”という点が非常に大切になります。
今回のブログでは、メニュー開発を行う際に意識しておきたい「レシピの再現性」について、具体的な考え方と、開発段階での工夫を交えながらお伝えします。
【「美味しさ」よりもまず、「安定して美味しい」かどうか 】
例えば、とあるカフェで非常に評判のよいメニューがあったとします。しかし、それを生み出したシェフが退職してしまった瞬間から、味が大きくブレてしまう…。これは意外と多くの飲食店で起こりがちな事態です。
つまり、どれだけ一時的に美味しい料理を開発できても、それを継続して提供できなければ、結果的にリピーターを失うことにもなりかねません。だからこそ、再現性の高さは、「繁盛するカフェの条件」として見過ごせない要素なのです。
【レシピの再現性を高めるためのポイント】
1. “感覚”を“数値”に置き換える
再現性のあるレシピとは、誰がつくっても一定の品質に仕上がるように、料理の工程を可能な限り数値化したレシピを指します。
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「火加減」を指定する(例:弱火/中火/強火)
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「煮込む時間」はストップウォッチで秒数を計測
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「混ぜる回数」や「切るサイズ」もできる限り詳細に
このように、五感で覚える“職人技”を、できる限り言語化・数値化して共有可能なものに落とし込むことが重要です。
2. 現場スタッフの意見を取り入れながら設計する
メニュー開発者が一人で完結させるのではなく、実際にオペレーションを行うキッチンスタッフとの連携を大切にしましょう。
たとえば、
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時間内に準備できるか
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提供時の手間が多すぎないか
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調理工程が複雑すぎないか
などを確認しながら、現場で無理なく再現できるレシピかどうかを判断します。
【再現性を高めることで得られる3つのメリット】
① スタッフの育成スピードが上がる
レシピが誰にでも理解できる形で明文化されていれば、新人スタッフでも短期間で習得が可能になります。これにより、教育コストの削減や即戦力化が進み、スタッフの入れ替わりがあっても安定した営業が可能になります。
② 味のブレがなく、リピーターの信頼を得られる
飲食店にとって、お客様が「いつもと同じ美味しさ」を求めて再訪してくださることは何よりの評価。味のブレがあると、「前は美味しかったけど…」というネガティブな印象に繋がってしまうため、一定の品質を保てることが長期的な信頼につながるのです。
③ 多店舗展開・業務委託の際にも有効
再現性の高いレシピは、店舗展開やセントラルキッチンの活用、フランチャイズ化などのスケールアップにも役立ちます。品質の担保ができる状態であれば、どの店舗でも同じ味を届けることができるため、事業の成長においても非常に大きな武器となります。
【「再現性の高いレシピ設計」もメニュー開発の仕事】
弊社では、カフェや飲食店のメニュー開発支援において、単に美味しさを追求するだけでなく、提供現場での再現性までを見越したレシピ設計を行っています。
例えば、次のような対応を行っています。
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火加減や加熱時間を細かく記載
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作業手順書と写真付きマニュアルの作成
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現場でのスタッフ様トレーニング
「一人の技術者だけが再現できる料理」ではなく、「誰が見ても、誰がつくっても、お店の味になる」ことを前提に、レシピを開発・構築しています。
まとめ|再現性こそが、メニューの資産価値を生む
料理の“美味しさ”はもちろん大切ですが、それを誰でも・いつでも・どの店舗でも再現できるという点が、カフェの“安定した成長”に直結します。
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メニュー開発においては、再現性の設計も含めて考える
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数値化・言語化・マニュアル化による「誰でも再現できる仕組み」が重要
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教育コスト削減・味のブレ防止・多店舗展開にも有効
安定したレシピ設計に取り組むことで、お店の「味の資産」を守り、ブランド価値を築いていくことができるのです。
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【執筆者】
CREATIVEDEVELOPMENT株式会社
代表取締役
伊藤栄一
飲食店メニュープロデューサー