【カフェ開業】メニュー構成の考え方
カフェのメニュー構成は、単に提供する料理や飲み物のリストではなく、店舗のコンセプトを表現する重要なアウトプットです。
開業を目指すオーナー様にとって、「どんなお店をやりたいか」というビジョンや提供したい商品に関してのイメージはある程度固まっているかもしれません。
しかし、そのイメージが膨らみすぎると、理想を追求するあまり、自己中心的なメニュー構成に陥ることがあります。これは多くの開業プロジェクトで見られる課題です。
弊社が関わらせて頂くプロジェクトの中でもよくある事なのですが、一見お客様視点で考えられているように思われるアイデアでも、「自分が出したいものを提供する」という感情が見え隠れし、メニュー構成のバランスを崩してしまっている事が多々あります。
ですので、クライアント様の意見にじっくりと耳を傾けながら、お客様視点に軌道修正をかけていくのも弊社の仕事の一つと言えるのかもしれません。
そしてその軌道修正の時に指針として考えるのが『ショップコンセプト』になります。
ショップコンセプトとは、出店立地・ターゲット層・競合・利用動機・価格帯までを含めて『私たちのスタンス』を表現したものなので、何かに迷った時には指針となり答えを導いてくれます。
そこで今回は、カフェ開業を目指す方々が、どのようにしてバランスの取れたメニュー構成を実現するか、その基本的な考え方を解説します。お客様視点を常に意識しながら、店舗の「ショップコンセプト」を具現化していくプロセスを見ていきましょう。
1. ショップコンセプトを具現化する
カフェ開業において、メニューを構成する上で最も重要なのが、何度も強調している「ショップコンセプト」です。
ショップコンセプトとは、あなたのカフェが「どこに(出店立地)」「誰に(ターゲット層)」「どのような差別化を図り(競合)」「どんなシーンで(利用動機)」「どの価格帯で(価格設定)」お客様に提供するかを明確に示した指針です。
そしてそのショップコンセプトを具現化するための『手段』としてメニューは存在しています。
例えば、「オールデイユースで誰でも気軽に利用できるカフェ」を目指すなら、ランチ、ティータイム、ディナー、パーティーなど、あらゆるシーンで対応できるメニュー構成が求められます。一方、「毎日の栄養を気軽に摂取できる健康志向のカフェ」を目指すなら、サラダやスムージー、ヘルシーな食材を中心としたメニューが必要になります。
メニュー開発では、このように「何を提供すべきか」というコンセプトに基づいて、価格帯や提供方法を総合的に考慮することが大切です。カフェのメニューが店舗のコンセプトと一致していれば、一貫性のある魅力的なメニューが自然と出来上がります。
まずは、『ショップコンセプトを具現化する』ということに注意を払ってみてください。
2. カテゴリー分類をおこなう
ショップコンセプトを基にメニュー構成が進んだら、次は具体的なカテゴリー分けを考える段階です。ここで大切なのは「分かりやすさ」です。
新規のお客様はカフェに初めて訪れる際、何を注文すればよいのか分からないことがよくあります。カテゴリーが明確でなければ、選び方に戸惑い、注文に時間がかかることもあるでしょう。そのため、メニューはシンプルで直感的に理解できるものであるべきです。
例えば、健康志向のカフェであれば、「メインはサラダ、ドリンクはスムージー、サイドには小さめの雑穀パン」というように、自然な流れで選べるメニュー構成が理想的です。こうしたストーリーがあることで、お客様は何を頼めばいいのかが分かりやすくなりますし、カテゴリーごとのメニュー選択もしやすくなります。
3. 商品を構成していく
カテゴリーが決まったら、次にそれぞれのカテゴリーにどのような商品を配置するかを考えます。このプロセスでは、カフェの独自性や顧客に提供する価値をどう表現するかが重要です。
魅力ある商品を構成するには、センスと情報収集が不可欠です。業界のトレンドや他店のリサーチを行い、常に最新の情報をインプットし続けることが、センスを磨くための第一歩になります。
何を提供すればお客様に喜ばれるかを意識しながら、現実的な運営コストや食材の仕入れ、在庫管理、オペレーションなども考慮して、バランスの取れたメニューを作り上げていきましょう。
商品を構成する際には、ただ思いつきで並べるのではなく、しっかりとしたテーマや方向性を持たせることが大切です。顧客に提供する価値が一貫していれば、メニュー全体にまとまりが生まれ、カフェの個性が際立つでしょう。
4. お客様視点を最優先に
メニューを構成する上で最も重要なことは、お客様視点を最優先にすることです。
自分が提供したい商品に固執しすぎると、結果的に顧客ニーズから逸れてしまうリスクがあります。メニュー構成においては、常に「お客様が何を求めているのか」「どのような商品に魅力を感じるか」を軸に考えましょう。
市場調査や事前アンケートなどを活用し、ターゲット層が本当に求めているメニューを取り入れることで、カフェの成功に近づいていくでしょう。
【 おわりに 】
メニュー構成の鍵は、ショップコンセプトを明確にし、それに基づいた一貫性のある商品を提供することです。
おしゃれな内装やトレンドに流されすぎると、顧客が求めているものから遠ざかり、結果として魅力の乏しいカフェになってしまいます。重要なのは、まずショップコンセプトを構築し、それを基にしてメニューを練り上げることです。コンセプトに沿った商品を提供すれば、必ずお客様に愛されるメニューが完成します。
カフェ開業を成功させるために、お客様の視点を常に意識しながら、論理的かつ感性豊かなメニュー構成を目指しましょう。
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【執筆者】
CREATIVEDEVELOPMENT株式会社
代表取締役
伊藤栄一
飲食店メニュープロデューサー