【カフェ開業】食器は何枚買えばいい?枚数の目安と計算方法を解説
カフェや飲食店を新規開業する際、多くのオーナーが最初に迷うのが「食器はどのくらい揃えればいいのか」という点です。
お皿やカップ、グラス、ボウル、カトラリー……。見た目やデザインだけでなく、数量の判断も意外と難しいものです。
少なすぎると営業中に足りなくなり、ピーク時に洗い物が追いつかなくなります。
多すぎるとストックスペースを圧迫し、開業コストも余計にかかります。
そこで本記事では、新規開業時の食器購入数を見極める計算方法と、準備の際に押さえておくべきポイントを解説します。
【食器の購入枚数は「席数」だけでは決められない】
開業準備中、つい「席数分×2倍くらいかな?」といった感覚で発注してしまう方が多いのですが、この方法だと過剰在庫になり、開業資金を圧迫してしまう可能性が高まります。
理由はシンプルで、席数はあくまで最大収容人数であって、実際の営業状況やピーク時を反映していないからです。
例えば、コーヒーマグを例にとってみましょう。
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席数 20席
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満席率 70% ( 満席時に埋まっている席数は14席 )
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満席時の最大使用数は、10個と仮定 (14名のうち、10名がコーヒーマグを使用する)
この場合、最初の計算としては 20×0.7=14個。この数が満席時に全員がコーヒーマグを使用すると仮定した際の数量となり、そこから「満席時には14名中10名がコーヒーマグを使用するだろう」と仮定すると、必要数は10個と定義することができます。
さらに、お客様が回転した際に洗い物が間に合わないことを加味したうえでの安全係数として、1.2〜1.5倍をかけると、12~15個程度が必要になります。
【食器枚数を出す計算式】
新規開業時におすすめの目安計算式は以下です。
【算出に必要となる要件まとめ】
・席数:店舗の総座席数
・満席率:ピーク時に何割埋まるかの想定(ランチ・ディナーで異なる場合は高い方を採用)
・満席時の最大使用数:ピーク時に何枚の食器を使うか(食事・ドリンク・デザートなど、使用を予定している食器すべてで、それぞれ算出すること)
・1.2〜1.5倍:洗浄時間や破損リスクを考慮した安全係数
例1:ランチメインのカフェ(ワンプレート)
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席数:24席 (一人席も充実)
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満席率:80%(ランチタイム)
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満席時の最大使用数:19(全員がプレートを注文すると予測)
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安全係数:1.5 (回転が速いことを見据えて厚めにしておく)
計算式:
24 × 0.8 - 0 × 1.5 = 28.8 → 約29枚
例2:スイーツカフェ(ケーキ)
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席数:40席 (ゆったり席メイン)
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満席率:60%(土日ランチ後)
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満席時の最大使用数:19(8割が注文)
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安全係数:1.2 (回転がゆったりと想定)
計算式:
40 × 0.6 - 5 × 1.2 = 22.8 → 約23枚
【なぜ「満席率」で考えるべきなのか?】
席数だけで食器枚数を決めると、お客様実数との乖離が発生して、過剰在庫の可能性が高まります。
満席率への考慮が加わることで、必要以上に在庫を抱えず、かつピーク時に困らない適正数を見積もることができるのです。
【安全係数(1.2〜1.5倍)の理由】
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食器洗浄に時間がかかる場合
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破損や欠品が発生する可能性
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突発的なオーダー数の変動(ある商品がInstagramでバズを生み、それ目的のご来店増加など)
特に開業初期はオペレーションが安定していないため、安全係数の範囲内で少し多めの余裕を持たせるのが安全です。
【食器選びの注意点】
食器枚数を決めると同時に、種類と形状の選定も重要です。
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汎用性が高い形状を選ぶ(例:パスタ皿はパスタ以外にもカレーやワンプレートにも使える)
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スタッキングできる形状を選び、保管効率を確保
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耐久性とコストのバランスを重視(開業初期は破損も多い)
【開業後も食器数は変動する】
開業時の計算はあくまでスタート地点です。
営業を続ける中で、人気メニューや提供スタイルが変われば、必要な食器の種類や枚数も変わってきます。
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新メニュー追加時は必要枚数を再計算
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季節メニューやイベント用にスポット購入
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破損や劣化による定期補填
【まとめ:ピークを基準に、余裕を持った準備を】
新規開業時の食器準備は、「とりあえず多め」でも「必要最低限」でもなく、計算に基づいた適正数が理想です。
計算式をもう一度おさらいしましょう。
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席数だけで判断せず、満席率を基準に
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ピーク時を乗り切れる数を確保
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洗浄時間・破損リスクを考えて余裕を持たせる
この考え方で準備すれば、開業後の「足りない!」や「余りすぎ!」を防ぐことができますので、ぜひ参照してみてください。
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【執筆者】
CREATIVEDEVELOPMENT株式会社
代表取締役
伊藤栄一
飲食店メニュープロデューサー、カフェメニュー開発・開業支援
『メニューの開発実績500種類以上』『専門学校で講師の実績』カフェの現場で5年間シェフを歴任し、様々なメニュー開発を行う。開発メニューの中には、テレビや雑誌に取り上げられた事例も。