【カフェ開業】“立地と業態”の見極めが最優先!メニュー開発に入る前に押さえるべき重要ポイント
カフェを新規開業する際、多くの方がこだわるのが「メニュー開発」です。看板商品やSNS映えするスイーツ、オリジナルドリンクのレシピづくりなどに情熱を注ぐ方も多いでしょう。
しかし、私たちは数多くのメニュー開発に関わる中で、ある“現実”に何度も直面してきました。それは、
「立地と業態のミスマッチがある場合、どんなに良いメニューを作っても成果が出ない」
というシビアな事実です。
【カフェ開業でよくある「メニュー偏重」の落とし穴】
飲食店の成否を分けるのは“メニュー力”である——。これは我々としても間違ってはいないともちろん考えます。ですがそれは「立地と業態がフィットしている」という前提があって初めて意味を持ちます。
例えば、ランチ需要が見込めない乗降客数の少ない住宅街の駅近立地で、オフィス街向けのファストフード店を開業してしまえば、たとえクオリティの高いメニューを揃えても売上は伸びません。
逆に、土日メインの観光地において、平日主体のモーニングメニューを充実させたところで、利用者の行動パターンと合っていないため、空回りしてしまいます。
【立地を無視して進めると、開業後に後悔することに】
立地選定に時間をかけたつもりでも、具体的に「その立地で成功している業態や時間帯」「客層」「購買行動」まで掘り下げられていないケースが非常に多くあります。
「なんとなく人通りが多いから…」
「家賃が予算に合っていたから…」
「物件が出て来ず、やむなく紹介を受けたから…」
そんな理由で出店を決めてしまうと、実際の営業が始まった際に、客足の伸び悩みやターゲット層とのズレに直面し、修正が効かなくなってしまいます。
【成功するカフェは「立地→業態→メニュー」の順で設計する】
カフェ開業を成功させるためには、次のようなステップで構想を進めることが重要です。
1. 立地分析:
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平日と土日で人通りはどうか?
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住民層、観光客、オフィスワーカーの比率は?
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競合店は何業態で、どの時間帯に混んでいるか?
2. 業態設計:
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テイクアウト型?イートイン型?
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朝メイン?ランチ?カフェタイム?
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高単価?回転重視?客層は学生?主婦?ビジネスマン?
3. メニュー開発:
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その業態に合った商品設計(提供スピード・原価率・調理オペレーション)
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客単価を上げる構成(セットやトッピング提案)
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世界観を体現する看板商品づくり
この「立地 → 業態 → メニュー」という流れは、一見当たり前のように見えて、実際にできている店舗は意外と少ないと感じるのが現実です。
【メニュー開発は“最後の仕上げ”】
私たちは、メニュー開発だけを請け負うこともありますが、立地と業態がマッチしていない場合、どれだけ手を尽くしても「本質的な改善」にはならないと痛感しています。
例えば、地方のカフェで「夜は人が少ないから、アルコールメニューを強化して集客に繋げたい」とという企画が立ち上がったことがありましたが、そもそも夜の客数が物理的に少ない立地で、需要のない時間帯を伸ばすことは非常に難しいのです。
その場合は、「日中のメニューでいかに客数と単価を上げるか」「テイクアウト強化で販路を増やすか」などの、戦略の立て直しが必要になります。
【まとめ:売れるメニューは、“立地が整ったあと”に生まれる】
カフェ開業においては、メニュー開発を「最初に考えるもの」ではなく、「立地と業態が固まった後に取り組むもの」として位置づけることが大切です。
まずは出店予定地の周辺環境や客層を調査・分析し、それにフィットした業態を設計。そのうえで、“その業態に最適なメニュー”を開発していく。
この順番を意識するだけで、メニューの効果は格段に高まり、開業後の「思ったほど売れない…」という事態も防ぐことができます。
CREATIVE DEVELOPMENT株式会社では、立地・業態・メニューの3点を俯瞰的に見ながら、お客様のブランドに合った最適なメニュー開発のサポートしています。
開業を検討中の方や、既存店のリブランディングをお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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【執筆者】
CREATIVEDEVELOPMENT株式会社
代表取締役
伊藤栄一
飲食店メニュープロデューサー、カフェメニュー開発・開業支援
『メニューの開発実績500種類以上』『専門学校で講師の実績』カフェの現場で5年間シェフを歴任し、様々なメニュー開発を行う。開発メニューの中には、テレビや雑誌に取り上げられた事例も。